研究概要

相同組換えの機構は、ゲノムに多様性を与えるだけでなく、DNA修復やゲノムの安定維持に重要な働きをしています。また、DNA損傷などで複製が停止したときには、複製を再び開始させる機構として中心的な役割を担っています。私たちの研究室では、このようなさまざまな相同組み換えの機能や組換え反応そのものの分子制御メカニズムを明らかにしようとしています。そのために、“知りたい”という知的欲求をドライビングフォースとして、分子遺伝学、生化学、構造生物学など、対象となる分子の解析レベルに応じて様々な方法論を駆使して取り組んでいます。今、私たちが注目して解析している代表的なテーマは次の通りです。
  • Rad51リコンビナーゼによるHolliday構造形成の分子機構
    Holliday構造は、相同な二組の二重鎖DNAが、お互いに相補鎖を交換してできたユニークなDNA高次構造で、普遍的な組換え中間体として知られています。一方、Rad51リコンビナーゼは、相同組換えの素反応であるDNA鎖交換反応を触媒する極めて重要なタンパク質です。私たちは、2008年に、Rad51によってHolliday構造を形成されることを世界で初めて示しました[Murayama et al., Nature 451(2008)]。現在、この反応機構について、生化学的解析はもとより、構造生物学的手法や一分子観察によるアプローチを展開しています。

  • 翻訳後修飾による組換え機能の制御機構
    多数の組み換え関連タンパク質が、細胞周期やDNA損傷などのストレスに反応して、ユビキチン化やSUMO化などの翻訳後修飾を受けることが明らかになりつつあります。これらの生理的意義と反応機構について解析しています。

  • 組換え開始の分子機構
    ヒトのNbs1は、ナイミーヘン症候群というDNA修復不全遺伝病の原因因子ですので、医学的にも大変重要なのですが、Mre11-Rad50-Nbs1(NRN)複合体の一つのサブユニットとして、リコンビナーゼが働く前のステップで組換え開始反応を制御することが知られています。我々は、分裂酵母のNbs1ホモログやMRN複合体に共同して働くCtp1タンパク質を発見しております[Akamatsu et al., MCB 28(2008)]。これらのタンパク質による組換え開始制御機構を解析しています。
東京工業大学科学技術創成研究院細胞制御工学研究ユニット岩崎研究室
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